梅津慶一 diary

たことねこ

「猫をめぐる冒険」第3回

 「猫をめぐる冒険」第3回

「北海道に行ってくれないか」

時田は、いきなり本題に入る。

普通の37歳はいきなり北海道には行けない。

「君がひまなのは知っているんだ」

「あー、まあ僕はひまだけど、君が行ったら」

「僕は仕事がある、たくさん」

「北海道でなにをするの」

「ある女性にあってほしい。とりあえずは

それだけだ」

たいした仕事じゃない。

春の北海道を(たぶん)ただで旅行してこいと。

 

20年ぶりにあう元同級生にこんないい話が

あるわけない。

 

「犯罪なの?」

「違う、今のところは」

「はー、悪いけど断るよ」

「猫にあえるかもしれない。世界一美しい猫」

僕はこの言葉について考えた。猫は好きだ。

大好きといっていい。今の僕が猫を飼っていないのは

諸般の事情のためだ。

「たくさんの猫に会える」

うーん。

「1000万円ぐらい、あげられるかもしれない」

ふむう。

「中田ユリはもう出発している」

高校時代にぼくが憧れていた女性の名前を

なんでこいつが知っているんだ。

「うーん、中田さんには会いたいな」

「よし、出発は3日以内。とりあえず200万円」

札束2つを受け取ってしまった。

 

携帯の番号なんかをお互いに確認して、

ぼくは、17階から地上におりた。