「猫をめぐる冒険」第4回
「猫をめぐる冒険」第4回
新京成線の車内で考える。
僕は北海道に行くことになった。
猫と中田さんに会いに。
カバンの中には200万円。
時田のことはまるで分らない。聞かなかったのは僕だが。
まあ、いいか。旅行だよ。おいしいものを食べてこよう。
旅行なんて何年振りか。
荷物は着替えぐらい。
テレビゲームをする。落ち着かない。
布団に横になっても眠れない。
中田さんのことを考えよう。
「地味だけど美人」
地味な髪型。静かな物腰。
当時中田さんはそんなにもてなかった。
というか、今みたいにたくさんカップルが
できる時代ではなかった。
部活は入ってなくて、個人でピアノを
習っていた。かなりの腕前で、
「全国大会レベル」だという噂だった。
陸上部で長距離走をやっていた僕とは
一緒のクラスという以外、接点はない。
でも、意識していたんだよね。
おとなしくてまじめで、
地味だけれども美人の中田さん。
できたら会いたいな。