「猫をめぐる冒険」第6回
結局、その日連絡はなかった。
ホテルの予約は一週間らしい。
僕はもう勝手に動いちゃうよ。
まずは目に前にそびえる超高層ビルからだ。
45階に展望フロアがある。さっそく上がろう。
おお、カフェもあっていいじゃないか。
北海道大学が丸見えだ。
トイレに入ってびっくり、かべがガラスでできている。
盗撮されるなあと思いながら用を足す。
カフェに戻ってカフェオレを飲んでいると
真っ黒なスーツを着た女性が近づいてくる。
25歳ぐらい。どっちかといえば美人だ。
「熊野様ですね。これをどうぞ」
なにやら紙が一枚手渡される。
女性は何も言わずに去っていく。
紙にはどこかの住所が書かれている。
ん、これはもしや、僕が子供の
ときに住んでいたところかその近くじゃないか。
ここへいけばいいんだな。