猫は引き取れません③
今日は調子はまあまあ。
お、お客さん発見。
うそ?めっちゃかわいい女の子。スタイルはすらりとしているが、背はあまり高くない。小顔。広末や宇多田のようなショートカット。粗大ごみよりも僕たちの将来について話しませんか。
「あ、どうしました?」
できるかぎり、さわやかに話しかける。
「古いテレビを回収してほしいんです」
彼女の部屋に入ると獣臭い。母猫と3匹の子猫が私を警戒していた。
「ウチの猫が5匹も産んじゃったんですよ」
2匹はもらわれていったらしい。
「もしよかったら一匹もらってくれませんか?」
「えーと、ああ、いいですよ」
テレビを軽トラに積み込み、子猫を引き取りに来る約束をして、私は運転席に座った。
超タイプの子だった。また会える。
ぼんやりして車を発進させた。
次の休みの日に、猫ケージをもって彼女の家にやってきた。当然、自分の車だ。
30過ぎの男がドキドキしながら女の子の部屋にやってきたわけだ。子猫をもらいに。
できるだけ彼女のことを聞きだした。
24歳のOL、彼氏なし。
本当かはわからない。
でも、何か理由をつくって、また来よう。
帰ろうとしていたら、
「食事しに行きませんか。そこのファミレスに」
いいぞいいぞ。久しぶりに、人生の春の予感。
子猫がミイと鳴いた。