第4の猫④(本日2回目の更新です)
次の日のお昼過ぎに、キューイちゃんを送っていくと、女子高生が庭で竹刀の素振りをしていた。
「剣道部なの?」
「違うよ。ストレス発散兼運動」
Tシャツ・短パンで竹刀を持った彼女の姿は女神様のようだ。
「学校は?」
「あんまり行ってないんだよね」
やっぱり不登校か。
まあ、この子ならトラック運転手でも務まりそうだから、高校中退でも大丈夫だろう。
「おじさん、会社は?」
「あんまり行ってないんだよね」
彼女が噴出して笑った。
正直言ってかわいかった。
「おじさんヒマでしょ?」
「うーん、まあね」
「この後、わたし、病院行くんだけど、一緒に行ってくれない?」
「え、何の病院?」
「神経科クリニック」
「あー、あー、どうしようかなあ」
「じゃあ決まりね。
わたし、シャワー浴びてくるから、用意しといてね」
そういうと、彼女は家に入ってしまった。
仕方ない。
私は自宅で着替えたり、貴重品を持ったりして、また、彼女の家に行った。
すでに準備をして待っていた彼女の私服姿は、どう見ても高校生には見えなかった。
どこかの大学のミスキャンパスといっても疑われないだろう。
「はい、じゃあ、行きましょうか」
駅まで一緒に歩く間に、いろいろ聞いた。
半年ほど前に、生意気な同級生をぶっとばしたこと。
停学1か月になったこと。
1か月に1回、クリニックに通うことを義務付けられていること。
クリニックで、統合失調症の疑いがあると言われていること。
「それで、今日はなんで、僕を引き連れていくの?」
「偉い人は、お供を連れているものなの」
「・・・なるほどね」