梅津慶一 diary

たことねこ

猫をめぐる冒険 第8回

中田さんに、お茶を飲みながら、聞いたのは

こういうことだ。

 

時田はネコの楽園をつくりたい。

寒さに震えるねこたちを助けてあげたい。

で、こんなマンションを建てたわけだ。

なんで北海道なのか。

なんでも僕がここに住んでいた時、

時田も同じ学校にいたのだという。

ぼくは時田のことを覚えていないけど、

時田は僕が家で猫を飼っていることまで

知っていたという。

時田自身も何匹か飼っていたらしい。

 

で、大金持ちになった時田は、僕を

園長に任命したのだが、僕を

ここに連れてくるには「エサ」がいる。

そのエサにされたのが中田さんだが、

いやではなかったという。

20代で結婚し、子供のないまま離婚した

中田さんは少し心のバランスを崩していたらしい。

で、時田と再会し猫の楽園構想に参加することになった。

 

僕を呼ぶなら普通に誘ってくれればいいのに。

時田の遊び心がこんな小旅行になったのだ。

 

「中田さんはよくこんな計画に参加したね」

僕が聞くと、彼女も猫が好きだし、

しかも僕に興味があったという。

それは、恋愛感情というほどのものではないが、

できればもう一回あっておきたかったのだという。

20年ぶりの再会が恋愛につながるのかは、

僕にもわからない。でも、悪いことには

なりそうもない。

時田は仕事が忙しいのでたまに、様子を

見に来るだけらしい。

僕と中田さんで「夫婦ごっこをたのしんでくれ」だと。

それと「世界一美しい猫にも会えただろ」。