アガペー①
車が一台通る幅しかない道。あたりにはいろんな野菜が植えられているけど、ただの緑色。
空は青じゃない。空気色。晴れているのに、空気色。
家がある。割と大きくておしゃれな感じ。庭には、男がひとり、木でできた箱に座っている。ずんぐりむっくり、メガネをかけていて、視線は空のあたりへ。なんだかおかしな男。見ないようにする。
猫だ。男のそばに白っぽい猫がいる。頭が小さくてスラリとした猫。何をするでもなく座っている。
男と猫。切り離すことはできない。
僕が前を横切るとき、男は、僕を見た。はっきりと。でも、失礼な感じはしなかった。
畑や林を抜けて、僕は家に帰った。